イディッシュ語のことを書いた本は色々あります。
まず初めの一冊をすすめるとしたら・・・迷っちゃいますね。
でもこれかな。
イディッシュ語 (文庫クセジュ) 新書 – 1996/11 ジャン ボームガルテン (著), Jean Baumgarten (原著), 上田 和夫 (翻訳)
とりあえず、イディッシュ語にまつわるひと通りのことが書いてあります。
なんとジャン・ボームガルテン大先生は、イディッシュ語は話せないらしいです(本人が話せないと思っているだけかもしれないが)。ちょっと前まではイディッシュ語を勉強したら文献を読むって感じだったんですね。そのことを話しているインタビューはこちら。素敵な感じですよ〜。
Jean Baumgarten | Yiddish Book Center
イディッシュ語を一緒に勉強した友達とおしゃべりするって時代じゃなかったんだなあ。私のイスラエルのイディッシュ語の先生も、そういうことを言ってました。「僕がイディッシュ語で話すようになったのはここ10年くらいだよ」って。話し相手は自分で育てたみたいです。子どもたちに言葉を教えるなんて、なんかパパ&ママですね。すごい。
イディッシュ語を日常会話で使う人の出現っていうのはここ最近。ってことで。
(ちなみにニューヨークは別です。ニューヨークでイディッシュ語を勉強した人たちの話を聞くと、一緒に勉強した人たちとイディッシュ語で話していたと思われます)
で、また本の話に戻ります。こちらはオススメです。面白いし、読みやすい。一人で読んでよくわかるし楽しめます。やはり、あの上田先生のかかれたものなのですよね。すごい。
イディッシュ文化―東欧ユダヤ人のこころの遺産 単行本 – 1996/12 上田 和夫 (著)
ちなみに上田先生が『月刊言語』(今はもう出ていない)という雑誌に書かれた連載も面白いです。見つけたら読んでみてください。
ユダヤ人の概説にもイディッシュの話が出て来ます。他の項目と併せて読むとイディッシュ語の立ち位置もわかってくるので見てみてください。
ユダヤ学のすべて (ハンドブック・シリーズ) 単行本 – 2009/4/1 沼野 充義 (編集)
この本にはイディッシュ文学について書かれています。
東欧の想像力 単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 奥 彩子 (編集), 西 成彦 (編集), 沼野 充義 (編集)
上記二つとも西先生が書かれていると思います。
こちらは有名なThe Joys of Yiddishの翻訳版です。Newって書いてあるから続き物が出たのかな。私はドイツ語版を読んだんですが、内容はけっこう面白いけど、一人で通読するにはちょっとあきてくる感じです。日本語版はどうだろう。広瀬先生はアメリカのイディッシュ語関係者に知られています。私はまだお会いしたことがなく、いつかお会いしたいです。
新イディッシュ語の喜び 単行本 – 2013/6 レオ ロステン (著), 広瀬 佳司 (監修), Leo Rosten (原著)
入門書ではないけれど私の博士論文もイディッシュ語について書いてあります。
イスラエル国家建国以降、イディッシュ語話者が子供たちとはヘブライ語を話さず、イディッシュ語が廃れてしまったこと。それでもイディッシュ語の新聞や雑誌は自転車操業(またはジリ貧)で発行されてきたこと。世俗ユダヤ人のイディッシュ語母語話者たちが高齢化して少数になる中、イスラエルで盛んになったイディッシュ語の活動について書いてあります。現地で色々な人に話を聞いて、色々な資料を読んでまとめた作品です。
現代イスラエルにおけるイディッシュ語個人出版と言語学習活動 単行本 – 2014/2/1 鴨志田 聡子 (著)
ちなみに、私のかつての師匠の本にもイディッシュ語が紹介されています。
ことばと国家 (岩波新書) 新書 – 1981/11/20 田中 克彦 (著)
この本/師匠のおかげで私もイディッシュ語を知りました。
今回書ききれなかった本はまた紹介します。これも入れて!という方はご連絡ください。本か本のコピーを送ってくださると(PDFでもOK)紹介できるのが早くなると思います。