ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

日本とイディッシュ

イディッシュ語と日本語を勉強したアメリカ人レベッカ・ホワイトさんの記事です。日本で出たイディッシュ語の本、イディッシュ語に訳された日本の本がテーマになってます。最後にジャパニーズクレズマーの話も出てきますよ。

Tokyo Storm Warning | Yiddish Book Center

レベッカさんは以前東京外国語大学オープンアカデミーのイディッシュ語にクラスにゲストとしてきてくださいました。ご家族やイディッシュ・ブックセンターについてレクチャーしてくださいました。イディッシュ語も日本語も素晴らしかったです。

Moment掲載

ノーベル賞受賞者エリ・ヴィーゼルなどの寄付によるユダヤ系ジャーナルMomentで「イディッシュ復興の新顔」とのことで、私のインタビューも紹介されました。

以前もこのブログでご紹介したかもしれませんが、Web版が公開されて内容が読めるようになっているのでお知らせします。

記事へのリンク:New Faces of the Yiddish Revival

夏期集中講座 初中級

In a Summer Intensive course at TUFS Open Academy (Aug 28-30, 2018), we read der onheyber by D. Bridger (1947) and very short atory by S. Aleichem and a poetry by Sutzkever. The students were only two but great!!

東京外国語大学オープンアカデミー夏期集中講座イディッシュ語初中級を開講しました(2018/8/28-30)。今回はベテランの方2人という超少人数だったので、用意したテキスト(Der Onheyber, D. Bridger 1947)をどんどん読み進めました。テキストはこちら:

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余談ですが外大のキャンパスも緑がきれいで気分が上がりました。

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季節外れではありましたが、挿絵にもひかれ、ユダヤ人の出エジプトを祝う春の行事ぺサハ(過越祭、パスオーバー)についてのお話をいくつか読みました。

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Der Onheyber, p. 108

せっかくだったので、さらにショーレム・アレイへムの超短編一つ、アヴロム・スツケヴェルの詩を一つ読みました。文学は読むのに時間がかかりますが、味わい深いですね。受講生の方々おつかれ様でした。

アフラ(北部)に行ってきました

エルサレムから約2時間バスに乗ってアフラという北部の都市に行ってきました。

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実家は北部、自宅は北部という人はしばしばいるので、以前から興味がありました。北部は海沿いのハイファしか知らなかったので、内陸にも行ってみたいと思ってました。調査研究をきっかけに行けて嬉しかったです。

ミナ・ローゼン先生(Prof. Minna Rozen)とご主人のアヴィさんにお会いしました。ご主人が自宅の窓からナザレを見せてくれました。

イラク出身のユダヤ人をご紹介していただき、インタビューさせていただきました。

彼はモシェさんといいます。

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バグダッド出身です。バクダッドのことを「パラダイス」だと感じ、書きことばのアラビア語(フスハー)こそが自分のことばだと感じている(今でもアラビア語で詩を書いている)とのとこでした。バグダッドでは高等教育を全て英語で受けていてパーフェクトな英語を話せたとのことですが、30-40年間話さなかったためにすらすら出てこなくなったとのこと。英語を読むときはヘブライ語ー英語辞書を使うとのことでした。今年度中に短い文章にまとめたいと思っています。

インタビューの後、ミナ・ローゼン先生のご主人アヴィさんに彼のオリーブ畑を見せてもらいました。オリーブ大好きなので癒されました。

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ものすごい灌漑農業です。

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ボスもいないし、ビジネスも年に数回、自分が水をもらえる日に水の世話をする(水道の開け閉めや、灌漑設備がうまく動いているかチェック)それだけだからいい仕事だよとのこと。オリーブ育てはそんなに気をつかうこともないみたいで、美味しいオリーブもたんまりできるし、何より実った姿が本当に美しいし、素晴らしそうな仕事でした。私も2世代前は農家でした。子どもの頃父方の田舎に連れて行ってもらいお蚕さんがむしゃむしゃ葉っぱを食べているのをみました。あの音と匂いを覚えています。

アヴロム・スツケヴェルの映画上映会

2018/8/21 エルサレムヘブライ大学(ギヴァトラムキャンパス)、シャガールのステンドグラスがあることで有名なイスラエル国立図書館もここにあります。

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この晩はイスラエルイディッシュ語作家の人生についての映画の試写会。人がいっぱいです。

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彼の作品は練りに練ったイディッシュ語で書いてあり、難しくて、意味がわかると重い内容で辛くなる。翻訳が少なくて(イスラエルでも)あまり読まれないけれど、非常に重要な作家です。映画にするとこんなにほとが来るんだから映画ってすごいですね。

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今回、映画上映会でアヴロム・スツケヴェルのいろんな写真を見て、彼がイケメンだったことに気がつきました(お孫さんのハダスさんがとっても美しいです)。シャガールの挿絵が入ったスツケヴェルの本イディッシュ語で一緒にサインした本。イディッシュ語サイン版は世界に50冊しかないようです。ヘブライ語でサインしたのも50冊あります。イディッシュ語ヘブライ語は文字は同じですが、母音の書き方がちょっと変わります。

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スツケヴェルの作品はとても難しいのですが、人としても難しくて、ちなみに握手すると手は鉄のようだったらしいです。でもいろんな運命を背負っていたので、やるしかなかった。ちょっと知る限りでも大変な人生を送った人でした。

それにしても会場はいっぱいでした。イディッシュ語の歌が流れると一緒に歌う人たちがいました。映画の後で日本語に訳したスツケヴェルの詩も紹介しました。

英語インフォ。

Black Honey, The Life and and Poetry of Avraham Sutskever | Jerusalem Film Festival

まちじゅうこうじちゅう

テルアヴィヴ、工事中のところがすごく多いです。高いビルがいっぱい立っていて10年前(留学してたとき)と全然違います。

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高いビルがいっぱい建ってます。

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まだまだ建てるみたい。

ちなみに普通の人はこういうのは買えないみたいです。物価が高くて困ってる人いっぱいいるみたいです。私も困ってます。

例えばベルリン風カレーブルスト(鶏肉)が↓600円。。。「ベルリンよりおいしい」とのこと。

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店の人が美味しいか聞いてきたので「味はいいけど高すぎ」と言ったら「税金がいっぱいとられてそれが値段に加算されるんだ。外に椅子をおいても、看板をだしても、みんなお金をとられるんだ。店をはじめるときこの値段でやっていけると思っていたけど、やってけないくらい大変なんだ」とのこと。大丈夫でしょうか。

トマトソースに卵を入れたシェクシューカ(これは特別に肉が入ってます)1500円。

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外食ばかりしたら大変ですね。イスラエル人は「日本はすごい好きだけど高い」というけれど私もイスラエルは高いと思います。ほかの日本人もそう言ってます。

これからどうなるのかなと思います。

 

 

バルイラン大学

ミーティングがあって行ってきました!外から見るとこんな感じです。高速道路のとなりにあり、エルサレムからは長距離バスを使うととっても便利です。今日はテルアビブから普通の路線バスで行きました。

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10年前にバルイラン大学に行った時は、ほとんどユダヤ人だったのですが、ムスリムも、中国人も、いろんな人が増えたようです。世界って本当にすぐ変わるのですね。私はバッチリ長袖と長いスカートで宗教的に失礼無いように決め込んで行ったのですがそんな必要は無いようでした。

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私が道を聞きいた相手は、ズボンとピタT(死語でしょうか)でスカーフもしてないムスリム女子でした。超かっこよかったです。

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ヘブライ語演劇と女優とイディッシュ

テルアヴィヴにてヘブライ語の劇に招待してもらいました。この女優さんです。Hadas Kalderonと言います。

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その女優さんはイディッシュ語作家のアヴロム・スツケヴェルの孫ですのでイディッシュ的にも非常に重要です。有名な人です。それでいきなり知り合いました。

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↑スツケヴェルの孫だから、いっぱい重要な本をお持ちです。シャガールとスツケヴェルが一緒にサインした本。

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ある日ご自宅に行ったら共通の知り合いをたくさん発見して「なんとなんと」ということになりました。博士論文書いてる時にはわからなかったいろいろなことがつながりました。話すこといっぱいありすぎて止まらなかったのですが彼女が子どもを友だちのところに連れて行かなきゃいけなくなって、じゃあまた次は数年後かなと思ったらシャバット開け(翌日)会うことになりました。

彼女は、子どものための劇の脚本も書いていて、話せない子どもと犬との友情物語(本当はもっと深い)の脚本を書いたそうです。

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なんと「私演じるから来れば?」と軽く言ってくれて、しかも女優さんの運転(ボルボ!)で会場まで連れててもらい、帰りも送ってもらいました。車の中も楽屋も緊張感あんまりない感じでした。日常の一コマなのかな。お客さんと舞台の上との一体感がすごかったです。

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彼女がメイクしている時間に彼女が内容を解説してくれました。余裕あるなあと思いました。内容がある程度わかってからみたんで、よく分かりました。ちなみにお化粧慣れてる人はこんなに早く出来るんだなと思いました。私もやってみたいです。

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声がよくて面白いムードメーカーなのかなと思われる女優さんや、いるだけで存在感ある女優さん、劇見ている間に大好きになっちゃうような女優さんがいて良かったです。

ちなみにお客さんはいっぱいでした。劇の前に「緊張しないか」って聞いたら全然しないみたいでした。日常の一部という感じだった。すごいな。

また明後日くらいにもう一度会います。今度はエルサレムでスツケヴェルの映画のスクリーニングがあります。楽しみです。

テルアヴィヴでレクチャーをしました

イディッシュ語の作家ジャーナリストが創設したレイヴィックハウスでレクチャーをしました。

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自分がどうしてイディッシュ語を勉強しはじめてどういう博士論文(アマゾンで買えます)を書いたか、東京のイディッシュ語の自分の授業のこと、今やっているイスラム地域出身のユダヤ人の研究などなど盛りだくさんの内容でした。

レイヴィックハウスを仕切っているダニエルさん(ピアニスト)が、こっちに来るならなんかしゃべってと、機会を設定してくれたのでした。

ちなみみ日本のクレズマーのコンサートと同日だったので、リハーサルのライブ中継もさせてもらいました。

非常に喜んでもらえて、私にとってもとっても楽しい会になりました。「ありがとう」って言ってもらえて本当に嬉しかったです。フィールドの人にやっとお礼できた気がしてます。

日本で一緒にイディッシュ語勉強してくださった皆様、そしてその機会を作ってくださった皆様本当にありがとうございます。

Youtubeにインタビューがのりました!

A student of mine at the Yiddish class at TUFS made an interview to me and edited a video!!! Great!!!

東京外国語大学 非公式 YouTube Tuftube ここにはいろんな外大の専攻言語のインタビューがあります。

東京外大非公式YouTubeチャンネル - YouTube

今回はイディッシュ語です。専攻言語以外の言語は「イディッシュ語がはじめて」だそうです!!!ご担当のイサムさん、上手に作ってくれました。自分で見た感じではイディッシュ語好きなオタク って感じでした。ありがとう!

TufTube版27言語リレー番外編 イディッシュ語 - YouTube

イディッシュ語の夏期講座、前半終わりました

東京外国語大学オープンアカデミーのイディッシュ語夏期講座(超初級)が終わりました。3日間連続で毎日3時間、合計9時間イディッシュ語づけでした。

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13名の受講者のみなさま、2日目にはヘブライ文字が読めるようになりました。すごい!!!ジャガイモの歌も歌いました。しかも、文の超基本構造まで勉強できました。中国人の受講生も2人いらっしゃって、一緒にできて本当に楽しいなと思いました。

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東京外国語大学オープンアカデミーのツイートより

(事務局の方が写真を撮りに来てくださいました。感謝)

ジャガイモのソングを書いたホワイトボードがうつった写真をフェイスブックでシェアしたら、海外のイディッシュ語つながりの友達や先生が「食べたい」とか「わさび添えで」とか(イディッシュ語で)書いて反応してくれました。マイナーなだけにつながりも広いです。

ジャガイモ・ソングどういう歌かはこちらをご覧ください:

Bulbes(ジャガイモ) - ユダヤ人と言語 Jews and Languages

夏期講座最終日の3日目、短いお話や簡単な詩を読めるようになりました。イディッシュ語はドイツ語や英語に似ていますが、作品を読むときは文化や宗教、社会や歴史の理解が必要です。グループで話し合いながら頑張ってくださいました。

共通の趣味があったり、たまたま共通の知り合いがいたりする方々が集って、イディッシュ語で集まって見たけど、別のつながり発見という点も良かったです。他の言語でもこういうことありそう。言語学習っていいですね。

今回スペシャル製本したテキストもなかなか好評でした。ばらけないし、思い出になって良かったです。東京外国語大学の印刷室のスタッフの方々に超感謝です(右から左の言語でも、古いテキストでも、ベストの仕上げ)。ここでは、それぞれの言語がきっと平等に大事に扱われているんだろうなって思います。

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最後に受講生のみなさまとピザを食べました。外大の前のお店美味しいです。もし外大にご用事あるときは是非入ってみてください!

いろんな方に支えられておかげさまで超初級の夏期集中も3回目となりました。毎年十数人が受講してくれます。感謝しています!

8月末にまた続きをします。ご興味あれば!!!

カケハシ・プロジェクトのニュースレター

以前このブログにも書いたのですが、外務省による日本と北米の交流「カケハシ・プロジェクト」(2018年3月)に参加しました。これについてご質問を受けることもあり、でもあんまりゆっくりお話しする時間もなかったので、いつか報告会を開きたいと思っています。機会があったら企画してください^_^!

日本でユダヤを研究している若手研究者が米国のユダヤ人コミュニティと交流しました。1週間かけてボストン、ニューヨークを訪問しました。ユダヤ人と交流することを目的としたカケハシ・プロジェクトは今回が初めてで、貴重な機会だったと思います。

今回の訪問について、英語のニュースレターができました。一緒にカケハシに参加した研究者、志田雅宏さんのウェブサイトからニュースレターのPDFがダウンロードできます。

On the way of...: NEWSLETTER: KAKEHASHI Project 2018, Visiting Program to Boston and New York by Japanese Jewish Studies Researchers is available from Dr. Shida’s website. Please visit here ↑ and click “Newsletter (PDF, 8 pages, in English)” をクリックするとPDFでダウンロードできます。

 

前期イディッシュ語の授業が終わりました

おかげさまで2018年度前期のオープンアカデミーのイディッシュ語の授業が全部終わりましたことをご報告いたします。

応援、見守り、拡散、そして何よりも受講に感謝します。ありがとうございました!

楽しかったです。

今学期のオープンアカデミーでは、イディッシュ語は全くの初心者という方々も初中級で一緒に学びました。そして、小話を読んでディスカッションできるようになりました。皆さまの頑張り、チームワークのおかげです。

↓こんなに読めるようになりました!

英語の教科書ですが日本語で解説します。英語得意なクラスメイトもいるので心強いと思います。

Kahn (2012)

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よかった!!

途中からは、かなり追いついてくださって、最後には、みんなでびっくりするくらいスラスラと読んでいらっしゃいました。さすがですね!!

イディッシュ語には、様々な言語や文化が混ざっています。ポーランド語、クレズマー、歌、クラッシック、ギリシャ語、中国語、歴史、宗教、アートなどなどに深い知識をおもちの受講生がいろいろ解説してくれます。新たな発見があって私も勉強になりました。

みなさん「イディッシュ語面白かった〜」と言ってくださり良かったです。なぜかとっても面白いのがこのことばの良いところですね。

後期には講読のクラスがあります!

↓テキスト、製本して配布します。

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英語の知識を使うと、イディッシュ語が初めての方でもだいぶ読みやすいです。

文字は基本22文字!!ひらがなの半分です。

詳細はこちらのリンクから:

イディッシュ語初中級Ⅱ:本気で学ぶユダヤのことば | 鴨志田 聡子 | 公開講座 東京外国語大学 オープンアカデミー 東京都府中市

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とってもご熱心なブロガー受講者のマイルストンさんも授業最終日の感想を書いてくださっています:

MileStone 이선희 팬: 春期イディッシュ語 2018-15th (終業)

雑誌掲載(Moment)のお知らせ

こちらの雑誌の「イディッシュ語リヴァイヴァルのニューフェイス」という特集に載りました。

Home | Moment Magazine - The Next 5,000 Years of Conversation Begin Here

私が掲載されたのは紙媒体です。ナイスなお二人と一緒に掲載してもらい超幸せです。

Moment July/August 2018

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