ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

The Yiddish version of Wandering in a winter wonderland

Haynt iz mayn geboyrntog. Es iz do a matone fun Mr. Michael Wex.

リクエストをいただいていたイディッシュ語バージョンのクリスマスソング「ウィンターワンダーランド」の歌詞です。
翻訳者のMichael Wexさんのご厚意で、本ブログに彼がつくったイディッシュ語版のウィンターワンダーランドを掲載できることになりました。
和訳は私がしました。
Thanks to Mr. Michael Wex, here ↓ we have the Yiddish version of "Wandering in a winter wonderland."
According to Mr. Wex, this Yiddish version was made by him around two years ago.
You can hear it in the Canadian TV program "Dreaming of Jewish Christmas" (2017). I translated the song into Japanese and it was broadcasted on Dec. 24 2018. Yiddish on Christmas! It was great high night for me.

The Yiddish version of Wandering in a winter wonderland
By Michael Wex

Japanese translation by Satoko Kamoshida
Klingt a glok bay dem shlitn, ソリの鈴が鳴る、
Glantst der shney, veg inmitn. 道の真ん中が輝く。
Kukt nor, oy, a prakht, 目をやれば、ああ、すごい、
Mir freyn zikh hay-nakht, 嬉しいね特別な夜
Valgern zikh in vinter vinderland. さまよう冬のワンダーランド

Dorem-tsu flit a staye, 南に行く、鳥の群れ、
Hern mir, nu, a mekhaye, 耳を傾ければ、うん、最高、
Vi a foygl derlangt 鳥がさえずるみたいな
A libe-gezang, 愛の歌、
Valgern zikh in vinter vinderland. さまよう冬のワンダーランド

Af der lonke boyen mir a shney-mentsh,牧草地に雪だるまを作り
Un gibn im a nomen Rov Nash-Brat.名づける「ラビ·マイフレンド」
Fregt er, “Hot ir eydim?” 彼がきく「(結婚式の)証人はいる?」
Zogstu, “Gey, bentsh,” 君が言う「(結婚の)祝福の祈りを唱えろ」
Un nokh dem zog ikh teykef “Hare-at.” 僕がすかさず「よし」。

Shpeter brent undz a fayer, その後、火をたくんだ
In a shtub, shpogl-nayer, 家でね、それも新築だ
Vos kumt undz tsu nits, きっとすごくいいはずさ
S’iz dekh der shpits, だってそうなるはずだもの
Fun Valgern zikh in vinter vinderland, さまよう冬のワンダーランド
Valgern zikh in vinter vinderland, さまよう冬のワンダーランド
Valgern zikh in vinter vinderland. さまよう冬のワンダーランド

syidish.hatenablog.com

ひまわり組向けレクチャー

都内の保育園で年長さん(5歳〜6歳)、その名もひまわり組のみなさまにプレゼンをしました。

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ひまわりぐみのみなさま

12月末はクリスマスの劇をする保育園もあります。せっかくやるならイメージついた方がいいかなということで、クリスマスの劇に出てくるベツレヘムエルサレムの場所や写真を紹介しました。留学中にクリスマスの日にベツレヘムに行って撮った写真などを使いました。ひらがなをつけたパワーポイントの写真を、スクリーンにうつして説明しました。なんと、ネットにもつながっていました。この保育園はプレゼン環境整ってました。すごいと思いました。

クリスマスの劇の本番前日のレクチャーでお互い気持ちが盛り上がりました。

みんなかなり真剣に聞いてくれて質問も活発でした。立派でした。これまで自分の研究に関連したレクチャーは、一番若くて高校生向けにしたことがありました。幼児さんにするのは初めてだったので、どうなるかなと思っていましたが、うまくいってホッとしました。みんなが真剣に劇の台本を読んで、考えながら自分の役を演じていることがわかりました。

私も最初は座って話しはじめたんですが、すぐに興奮して立ち上がってしまい、前の席のおともだちに「見えないよ〜」とか言われました。途中一人のおともだちがあきたのか、斜めに伸びてましたが、また戻ってきてたのでホッとしました。

こんなに座ってお話をきけるのなら、みんなすごい一年生になれるでしょう。

ちなみにその保育園のクリスマス劇の台本は、とてもわかりやすくて素晴らしかったです。テキストの理解と、それをわかりやすく解釈するというのが大事だなと思いました。

ちなみにベツレヘムへはエルサレムから歩きました。ヘブライ語のクラスで一緒に授業を受けていたルター派の留学生が、クリスマスにベツレヘムまで歩くから良かったら来ないかと誘ってくれたのでした。夜とても静かな中、いろんな話をしながら歩きました。楽しかったし、さわやかでした。意外とすぐついちゃいました。

『庭のソクラテス』

長澤洋子さんに、ご著書をいただきました。

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歌人のお父様についてご自身でリサーチされています。長澤さんの文章を読んで日本語っていいことばだなと感じました。本当に素敵な本です。

戦後の日本、家族、文化と人、生業と魂の仕事といったテーマでいろいろ考えさせられました。個人的にはご家族のことと、ミシンの話が興味深かったです。

庭のソクラテス―記憶の中の父 加藤克巳 感想 長澤 洋子 - 読書メーター

この話を読んでいたら、イスラエルイディッシュ語話者、作家であったお父様の調査をしている人がいて、その人のことを思い出しました。

長澤さんは朝日カルチャーセンターで長年いろいろな講座を企画されてきた方です。私も以前朝日カルチャーセンターでユダヤ関連でお話させていただきましたが、それは長澤さんがコーディネートしてくださったものでした。

なんと表現するのが良いのかわからないけれど、とにかく素敵なリーダーです。コーディネーターは裏方の仕事といえばそうかも知れないけれど、実はすべてを取り仕切る超クリエイティブな仕事だと思います。

長澤さんは、この記事へのレスポンスとして、ご自身の仕事について次のように考えていらっしゃるとメッセージを下さいました。

専門家の知と一般市民を繋ぐ仕事、翻訳家のような仕事と考えていました。パラレルな知性の橋渡し役とでも言いましょうか。

朝日カルチャーのレクチャーをするときは正直いつもものすごく緊張していましたが、このコメントを読んで、もっと気軽にやるほうがいいかも知れないな。と思いました。

子育てしながら仕事を続けられた大先輩としてもご助言をいただきました。長澤さんには本当にお世話になっております。

チェコの“小”撃!

2018年、我が家で大ヒットした本です。

オシッコショウヒャッカ

『おしっこ"小"百科』

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ヤクプ・プラヒー 著

阿部 賢一 訳

内容

みんな、どんなおしっこしてるのかな? その成分、マナー、便器の種類から世界のおしっこ文化まで、ユーモアたっぷりのイラストで紹介。大人も子どもも楽しめて、ニヤニヤが止まらないよ!

 
著者
ヤクプ・プラヒー (プラヒー)
1989年チェコ生まれ。プラハ芸術アカデミー卒業。イラストレーター。広告、WEB、書籍装画など国内外を問わずさまざまなメディアで活躍している。

翻訳者

阿部 賢一 (アベ ケンイチ)

1972年東京生まれ。東京外語大卒、カレル大学、パリ第4大学に学ぶ。現在、東京大学准教授。著書に『複数形のプラハ』、訳書にM・アイヴァス『もうひとつの街』、B・フラバル『剃髪式』他。

 

子どもから大人まで、みんな関係あることですし、じっく〜りどうぞ。

ちなみに小さな子どもが集中してこの本を読む姿は、とても知的で美しいものでした。たとえ“小”百科でも。。。

 

ちなみに私はこのページを見て、ある謎が解けました。

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むかし某国の某大学でイディッシュ語セミナーに参加した時に教室の後ろの端っこが妙におしっこくさかったんです。まさかと思ったけど、そのビルも古かったしな。あの匂いはやっぱり。。。

こんな風にチェコの児童文学を読むことになるなんて。。。小百科といっても、私はこれは文学だと理解しています。

本のまえがきより:

ぼくは、もう22年も、おしっこのことを勉強していますが、このテーマに関する専門書があまりにも少なかったので、自分が知っていることをすべて注いで、この本をつくりました。

いつもクールでかっこいい阿部賢一先生ですが、密かにこんな本を訳されていたんですね(これからは東大の文学部が黄色く見えそうです)。

阿部賢一 (東欧文学者) - Wikipedia

ヘブライ語も出てきて、私も少しお手伝いしまして、いただきました。

おしっこ"小"百科 :ヤクプ・プラヒー,阿部 賢一|河出書房新社

 

Walking in a Winter Wonderland in Yiddish on Dec 24 in Japan!

Tayere yidn, ikh hob a gute nayes!

(日本語も英語のあとに続きます)

On Dec 24th, Yiddish version of "Walking in a winter wonderland" will be broadcasted on the Japanese Public TV Broadcasting, NHK! The Canadian TV program "Dreaming of Jewish Christmas" in 2017 is translated into Japanese. In the prgram, there is a part of Yiddish version of "Walking in a winter wonderland." It is different from the original English version but the difference tells us more about the song. I translated it into Japanese with a great help of Mr. Michael Wex. He is the person (!) who translated "Walking in a winter wonderland" into Yiddish.

 

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Mr. Michel Wex

(This photo is from Mr. Michel Wex)

As you know he is the writer of the New York Bestseller Born to Kvetch!!!

https://www.amazon.com/Born-Kvetch-Yiddish-Language-Culture/dp/0061132179

The song is very funny but very moving.

ikh bin zeyer tsufridn. ikh hof az mer yapaner veln farshteyn yidns gefil. a groysn dank!!

Oyb ir redt yidish, zay azoy gut un leyent:

״ס׳איז יאָ מיט װעמען צו רעדן ייִדיש״ — Издательский дом "Биробиджан"

クリスマスのBSプレミアムの「プレミアムシアター」にて、『クリスマス・ソング 知られざる物語』("Dreaming of Jewish Christmas" 2017年 カナダ)という番組が放送され、その中でイディッシュ語の歌が紹介されます。この歌は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーBorn to Kvetchの著者で翻訳家で劇作家で現代イディッシュ界の有名人Michael Wexさんがイディッシュ語訳したものです。

michaelwex.com

 

www.youtube.com

私はイディッシュ語の歌詞の翻訳を担当しました。北米の世俗的なユダヤ人の気持ちがわかる良い番組で、ジーンときました。

ジングルベルの方も、シングルベルの方もぜひお楽しみください!

 ↓プレミアムシアター - NHKより

12月24日(月)【12月23日(日)深夜】午前0時00分~午前4時25分

◇本日の番組紹介
チューリヒ・バレエ
くるみ割り人形とねずみの王様』
【5.1サラウンド】
◇ドキュメンタリー
『クリスマス・ソング 知られざる物語』(2017年 カナダ)
【5.1サラウンド】
◇映画音楽の巨匠 ジョン・ウィリアムズ
名曲コンサート
【5.1サラウンド】

東京外国語大学イディッシュ語の授業では、学生にユダヤ人の文化をテーマにいろいろ発表してもらっています。

去年度にある学生がユダヤ人が作ったクリスマスソングについて発表してくれてとても面白かったです。ユダヤ人が作ったクリスマスソングは結構あるようです。

 

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キリスト生誕を祝う人々、そして彼らとは別に神と自分たちの直接的なつながりを信じるユダヤ人たち。クリスマスの頃にはハヌカ(ユダヤ暦によるため西暦で何月何日から何日になるかは毎年変動)という光のお祭りがあります。それも楽しいお祭りなんですが、サンタクロースがこなかったりするとちょっとさみしんじゃないでしょうか。

 

2018年のハヌカは12月3日から12月10日でした。

ユダヤの祝日がいつかは、ネットで調べると出てきます。

例えばこのサイトのMajor Holidaysを見てみてください。

  Jewish Holidays 2018-2019 | Hebcal Jewish Calendar

 

ハヌカでは8日間に渡って、家族や親戚、友達、近所の人たちとハヌカのろうそく(ハヌキア)つけイベントを楽しめます。

 

  ハヌキア  Menorah (Hanukkah) - Wikipedia

 

ハヌカの時期にイベントにいくとドーナツをもらえました。ミスドのエンゼルクリームみたいなかたち。赤いジャムが入ってることが多かったです。

 

  エンゼルクリーム

  エンゼルクリーム | ドーナツ・パイ・トースト | ミスタードーナツSP

 

 私はミスドポケモンのドーナツがいいな

 

  (まわしものじゃないです。お店に行ったら、予約しないと買えないと言われて思わず予約してゲットしました)

  misdo Pokémon ウィンターコレクション|新商品|ミスタードーナツ

(朝並べば買えるとこもあると知りました。)

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じゃがいもの細切りを薄く丸くまとめて、たっぷりのあぶらで焼いたラトケスも食べます。

 

  ラトケス

  How To Make Classic Latkes: The Easiest, Simplest Method | Kitchn

 

太ります。

 

ハヌカのときに駒を回したり子どもにお金をあげたりするんです。なんかお正月みたいです。たこあげやはごいたみたいな遊びは、ユダヤでは聞いたことないです。

ちなみに、ユダヤではもらったお金で遊ぶってききました。初売りでつかっちゃったり、まじめに貯金しちゃったりするのと違いますね。お金で遊ぶのってタブーじゃないのか。ふむふむ。 

 

 

 

イディッシュ語の辞書情報

YIVOのウェブサイトに便利そうなPDF↓を見つけました。
If you are looking for Yiddish dictionaries for some specific reasons, this list on the YIVO website helps you.

https://www.yivo.org/cimages/yivo_institute_-_yiddish_dictionaries.pdf?c=

Yiddish Dictionaries
There are over 100 Yiddish dictionaries in the YIVO Library. The following list of available
dictionaries is sorted alphabetically according to type of dictionary (see last column of
table) and date of publication.
Subject headings include: Academic Terminology, Etymological, Foreign Words in Yiddish,
Humorous, Industrial and Commercial Terms, Medical Terminology, Political Terms,
Proverbs, Scientific Terms, Technological Terms, Thesaurus, Words of Hebrew and Aramaic
Origin.

イディッシュ語のおすすめ辞書がリストになっています。用途別に使い分けできます。おもったものが手に入れば。
上田和夫先生がつくられたイディッシュ語日本語辞書もリストアップされていて(自分の仕事じゃないのに)誇らしいです。

https://www.yivo.org/cimages/yivo_institute_-_yiddish_dictionaries.pdf?c=

クラフトビール巡礼の人たち

近所にクラフトビール屋さんがあって、たまに行きます。いろんなところからやって来る見ず知らずのお客さんと話します。

クラフトビール - Wikipedia

今のところ一番遠くてアメリカの人(アメリカのクラフトビール専門の店のせいか、アメリカ人出没率高いです)、途中が北海道、近所の人など、いろいろ会いました。ビールのこと、ほとんどどうでもいい話、仕事のこと、みんなの人生模様が面白いです。

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ビアセラー東京

(この写真はちょっと古いです。今はラインナップが変わってます)

そういえば、この前テレビで、秩父で巡礼している人たちがいると放送していました。東京から秩父に小旅行して、座禅したり、ご朱印を集めている人が結構いるらしいです。巡礼することでリフレッシュして幸せな気分で東京に帰ることができるという話でした。神さまや土地の力もあるのだろうけれど、移動して、日常からちょっと離れて、運動して、良い人たちに会って楽しく話すのが効いているのかなと思いました。

秩父三十四箇所 - Wikipedia

今週末は近所のクラフトビール屋で、とある仕事を辞めて、ビール飲むためにしばらく外国に暮らす予定の人から話を聞きました。普段聞けない話が聞けて面白かったです。

クラフトビールの世界は狭いらしく、ある店で偶然に会った人と他の店で再会することも多々あるみたいです。

それ以外にもどこのビールが美味しかったとか(北海道から京都くらいまでのビールの話はいろいろ聞きました)、あの店がどうとか、どの祭りがすごいとか、いろんな話が聞けます。

店の人はもちろん、お客さんも優しい人が多いです。やはりそういうところにどんどん人は集まるのでしょうか。

私が近所のクラフトビール屋にばかり行くのは、そこが好きだからというのはもちろんですが、そこ以外にほとんど飲みに行けないからです。でも、そこでいろんな人に会えるからいいなと思いました。テレビでやってた巡礼地に住んでる人もそうなんじゃないかな。人の移動があるところは風通しがいいと思いました。

これからもクラフトビールの巡礼者の皆様に会えるとおもうと、また楽しみになってきました。

 

何かをきっかけに集まった人たちがいい時間を過ごすというのは、イディッシュ語学習の現場でも、他の語学の現場でも見ます。あるセミナーで会って、他のセミナーで再会すること、あのセミナーが良かったとか話すことも多いです。何かテーマがあって集まるのは楽しいですね。

ロシアの新聞の一面に載りました

My photos and articles in the Birobidzhaner shtern!  

極東ロシアのユダヤ自治州の州都ビロビジャンの新聞の一面に載りました。ゴジラっぽいのが私です。

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日本でも結構知られているロシアのイディッシュ語新聞『ビロビジャンの星』です。現在は多くのページがロシア語ですが、イディッシュ語のページもあります。今回はイディッシュ語のページに私の記事が掲載されています。とにかくものすごい情熱で続けられている新聞です。

私の記事は10-11ページに掲載されています。イディッシュ語ですが、2018年夏の東京、エルサレム、テルアビブのイディッシュ活動の写真もたくさん載せたので見ていただけると嬉しいです。

ちなみにヘブライ文字は右から左に書くので、イディッシュ語のページの記事は、11ページからはじめて10ページに向けて読みます。

リンク:

Биробиджанер штерн — Издательский дом "Биробиджан"

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この新聞とビロビジャンの状況については、数年前に共同通信の小熊宏尚さんが現地取材して記事にしてくださっています。

↓必見!

www.47news.jp

 

 

ヘブライ語児童文学翻訳者のこと

私の人生は文学によって何度も救われました。

文学を読むと、他の人たちの社会や文化などを垣間見ることができます。しかも自分の社会や文化について考えるきっかけにもなります。

私はエルサレム留学から帰ってきて、一ヶ月間の調査のために再訪したものの、その後は妊娠して出産して、博士論文を提出したあとは非常勤として地方自治体で国際交流を担当していました。

結局8年間イスラエルに行けませんでした。特に妊娠中や子どもたちが小さいときは、何にもできませんでした。

そんな中、母袋夏生さん(ヘブライ語児童文学翻訳者の第一人者)が訳された児童文学を読んで、救われました。

 

母袋さんについてはこちら:

対談「母袋夏生さんと、『突然ノックの音が』について語る」 - ユダヤ人と言語 Jews and Languages

母袋夏生 - Wikipedia

年輪を重ねることはそれなりに愉しい人生:Vol.5 母袋夏生 氏 - TONTON club

 

母袋さんの日本語がすごく綺麗で、しかもヘブライ語っぽくて、イスラエル人の不思議に対する理解が進んで。。。面白かったんです。驚いて、母袋さんが訳された本を読みまくりました。

そしてあるとき都内のエスカレーターで、母袋さんにばったりお会いして感動したのでした。それからかなりお世話になっています。

それまで注目されていなかったヘブライ語児童文学の道を、日本で切りひらいて来られたのは母袋さんでしょう。

母袋さんは児童文学以外にも訳されています。最近エトガル・ケレットの翻訳で母袋さんのことを知った方も多かったのでは。

マイナーなヘブライ語児童文学ですが、母袋さんだけではなく樋口範子さんという翻訳者がいらっしゃいます。樋口さんは母袋夏生さんについでかなり早くからヘブライ語児童文学の翻訳に取り組んでおられます。

<<樋口範子さんの紹介>>

by 「わんだふる山中湖」オーナー

 「森の喫茶室あみん」のママ、樋口範子さんの著作を中心にした「樋口範子の本棚」を開設しました。範子さんは、立教女学院高校卒業と同時にイスラエルに渡り、二年間キブツ・カブリ・アボガド園で働きました。帰国後、山中湖畔児童養護施設保母、パン屋を経て、現在ご主人の裕峯さん(山中湖在住)と喫茶店を経営しながら、著作(ヘブライ語翻訳)活動に励んでおられます。

樋口範子の本棚

私にとっては昔のイスラエルをご存知で、翻訳や執筆、子育てのご経験が豊富な大先輩です。

樋口さんは『ぼくたちに翼があったころ』 (タミ・シェム=トヴ著  福音館書店 2015)の訳者です。

この本は是非読んでいただきたいです。個人的には読書感想文にすごくいいんじゃないかなと思います。

www.fukuinkan.co.jp

読書メーターのレビューも注目です。

bookmeter.com

 

この他にも、すでにたくさんの本を訳していらっしゃいます。下のリンクから見ることができます。全部読みましたが全部良かったです。樋口さん著の『はんこ屋の女房』もすごい本でした。樋口さんとお会いしたことがあるからかも知れないですが、非常に面白かったです。

 

Amazon CAPTCHA

その樋口さんが、10月にセルバンテス 東京で開催された日本スペイン語スペイン語圏文化圏会議になんときてくださいました。

会議について:

第3回日本スペイン語・スペイン語圏文化国際会議

ご自身が考えられたことをこちらのブログに綴ってくださいました。2018年11月のところです。

樋口さんのブログ:

樋口範子のモノローグ2012年版

上にあるように、樋口さんはキブツに住まれた経験をおもちです。たくさんの言語が混ざり合う多言語社会イスラエルの状況をよく知っている方に、このようなレスポンスをいただけるのは幸いでした。

イスラエルではヘブライ語アラビア語、英語の他に、世界中から集まった移民たちが多種多用な言語を使って生活しています。イディッシュ語もその一つです。

Happy Chanukah

SNSなどにユダヤのみなさんがろうそくやドーナツ、じゃがいも焼いたラトケスの写真などを載せて盛り上がっています。ユダヤの冬の祝日、ハヌカです。8日間続きます。ユダヤ人の友だちがいたら、Happy Chanukahと言ってあげると喜ぶと思います。
ということで、今年もラトケスつくることにしました。実は月曜なのにCAVAが飲みたくなり、飲む理由を探していて、ラトケス焼いてハヌカっぽくしちゃおうと思いつきました。
イディッシュ語の授業でラトケスを紹介したところ、食べたいという方もいらしたので、いつかこの時期にラトケスを焼いて食べるイベントができるといいなと思いました。
来年は日本でもハヌカが流行りだすといいです。
仕事も終わっていない気もするけれど、師走だし、ハヌカだし、まあ、これくらいはあってもいいと思ってます。
Today is a Monday but I want to drink CAVA. And I have been thinking a reason and found, Chanukah, though I am a goy. A month ago, my son asked me to put latkes in his bento (a lunch box. Actually, I have to preparing bento every morning because his school cooking room is under construction).
Now is the time to stop Yiddish reading and do some active learnings!
Happy Chanukah!!!

                        • -

A friend of mine from Yiddish in Japan, passed away today. Just some weeks ago, we laughed together online. I still can not believe it. Today, I left my desk to get some dry cleaning and CAVA. Coming back home singing Chanukah oy chanukah like a meshgenerin, and saw a message about this very sad news. I am a Japanese Buddhist and feeling he is still here around to say goodbye to us. He was a great and a very freylakher person until the last moment. Yiddish brings me a lot of khaverim, many times it makes me happy, sometimes very sad. Just very sad. shver to live a life.
In this feeling, I am going to pick up my child.

『国際問題』の電子版 の最新号が一ヶ月無料で読めるらしいです

公益財団法人 日本国際問題研究所の雑誌『国際問題』(JIIA -日本国際問題研究所-)の最新号が、一ヶ月間、下記リンクより無料で読めるようです。

http://www2.jiia.or.jp/BOOK/latest.pdf

焦点:宗教と国際政治
◎巻頭エッセイ◎宗教と国際政治 / 池内 恵
カトリック教会と国際政治 教皇フランシスコはリベラルな国際秩序を主導できるか / 松本佐保
拡大するシオニズムの宗教的側面 イスラエルにおける政教関係の変化 / 立山良司
インドネシアにおける「イスラームの位置付け」をめぐる政治的闘争 / 見市 建
「畏敬」の争奪 現代中国における政治と宗教 / 王 柯

今日の論外を明日の常識に

私はいろいろな学校で学びました。最近またいろいろな学校に行くようになりました。それ気がついたことがあります。

それぞれの学校が価値をおくもの、目標にするものが全然違うのがわかりました。

一つの学校で合わなくても、他のところで合うこともあるかもしれない。学校というものが合わなければ合う場を自分で作ればいいと思います。希望をもって進みたいと思います。

より良い場の創造、価値の創造は人間にとってとても大事だと思います。スタートアップ、イノベーションユダヤ人がの名前を聞くことが多いのも、彼らが創造の大切さと価値を知っているからではないでしょうか。

想像し、必要があればその都度、修正を加えていく。この作業には無限の可能性があると思います。

変化の時代だからこそ、自分が創り出したいものがなにかをじっくり考える必要があると思います。

今日の論外を未来の常識に!

イラン生まれのイスラエル人

Rita is in Japan.

イスラエルにはイラン系ユダヤ人が沢山います。イラン生まれのユダヤ人、リタさんにお会いしました。彼女は歌手なのですが、イランのお話を再話してヘブライ語で出版しました。これは『白い池 黒い池』として日本語になってます。国語の教科書でなじみのあった光村から出てて嬉しいです。

『白い池 黒い池』はイランのお話です。親しみやすいお話なので、ぜひ読んでみてください。

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リタさん来日でツーショットのチャンス到来。写真は禁止でしたが関係者の方がとってくださいました。本持っててラッキーでした。

彼女がShah Dumadという歌を歌ってましたが、私はそれがとても好きになりました。ペルシャ語だと思います。ネットでShah Dumad(Shah Doomad)を検索してみてください。アンコール前の最後にペルシャ語の歌を選んだのも印象的でした。

 

政治、テクノロジーその他で日本とイスラエルの関係は一層深まりそうですが、そんな時こそお互いの文化と社会を理解することは大切なはずです。

イラン現地のユダヤ人コミュニティは大変大きく、イスラエルにもたくさん移住してます。ヘブライ語ペルシャ語を聞きながら育ったユダヤ人が結構います。ユダヤ人社会は一枚岩ではなく、結構複雑なんだと知っておくことは重要です。ユダヤ人の多様性にも気付けるし、現在のイスラエルとイランの対立もまた違って見えると思います。

 

女子力高いリタさん。うしろに見えるのは在日本イスラエル大使とそのご主人です。

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(鼻の下のびてるてこのことです)

リタさん、自分の本の紹介してます。日本語で本あってよかったですね。翻訳したのは母袋夏生さんです。

Rita Foruz, one of the very famous beloved Israeli singers, born Iran, was in Tokyo.

I felt power of a book. The book about a story in Iran was translated by Rita into Japanese. And I had it. Because of the book, I could take a photo with her.
We couldn’t take photos freely and because of that the first photo is a bit foggy.

エグザイルのあつしさんもいらっしゃいました。

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不二聖心のこと

私は静岡県裾野市にある不二聖心というカトリックの学校で中学から高校まで6年間過ごしました。ここで学んだことが今の研究に生かされていることは間違いありません。

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自分が不二聖心に生徒としている間は気がつきませんでしたがなんともいい環境です。

ところで、トルコのユダヤ人の人にいろいろと生い立ちを聞いたときにジャーマンスクール(ドイツ系)、フレンチスクール(フランス系)、イングリッシュスクール(イギリス系)の学校に行ったという人が多かったです。それぞれ、ドイツ語、フランス語、英語で授業したとのこと(ドイツ系、フランス系の学校は英語も話せるようになるようでした)。イラク出身のユダヤ人もイギリス系で授業は英語だったと言っていました。

調査をふりかってみて、いいなーっ!!と思いました。その後、ふと自分の母校について振り返ってみると、なんと、フレンチスクールでした。

学院の歴史・校歌 | 不二聖心女子学院 中学校・高等学校

フランス語叩き込んで欲しかった〜(今では教えてくれるそうです)。英語は独自のスパルタで叩き込んでくれます。

外国語教育 | 不二聖心女子学院 中学校・高等学校

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とにかく景色がいいので一見の価値ありです。イベントもあるので観光がてら行ってみてください。

 

東京から直接イディッシュで国際交流

We learn Yiddish only in Yiddish in this semester!!!
And send a video letter to a Fabiana Lipka’s Yiddish class in Tronto!

今学期も、東京外国語大学オープンアカデミーでイディッシュ語の授業をしています。今回は思い切って、イディッシュ語イディッシュ語を教えることにしました。これまでずっとやりたかった直接教授法(Direct Method)を試しています。いわゆるネイティブ英語講師が英語で英語を教えてくれるのが直接教授法です。

やってみて良かった点
イディッシュ語をしゃべる場をつくることができる
(↑これは長年の夢でしたので本当に嬉しい)
単純に面白い
集中できる
楽しすぎて時間があっという間に過ぎる

困った点
今のところ、なし
(じっくり考えてみたけれど思い浮かびません)

教科書は、私が試しに書いているものと、Lily KahnのColloquial Yiddishを使っています。

日本でイディッシュ語を話す場ができて嬉しいです。

このクラスは受講生が多才で面白くて、かなりアクティブです。
昨日はイディッシュ語のビデオを作りました。

というのも、カナダのトロントイディッシュ語教師をしている人から連絡がありました。トロントの子ども向けのイディッシュ語のクラスで、私がやっている東京のイディッシュ語のクラスについて、話題にしてくれているということでした。そこで、カナダのイディッシュ語学習者たちが演じたイディッシュ語劇を見て感想を送ってほしいとのことでした。そのビデオでは、屋根の上のバイオリン弾きイディッシュ語の小説が原作)の歌も入ってました。

なかなかない展開ですが、いいじゃないですか。

東京でその演劇のビデオを見て、その後みんなで感想をビデオレターにして送りました。

東京のイディッシュ語のクラスは豪華で、クレズマーバンドのメンバーがいます。大熊ワタルさんがクラリネットを吹き、こぐれみわぞうさんが不思議な楽器を鳴らしてくれました。

トロントの子どもたちが喜んでくれるのが楽しみだったわけなのですが、その前にトロントの先生がとても喜んでくれました。トロント以外でも、日本のイディッシュ語活動のことが結構話題になっているんですよ。
国際的で文化的。。。極東アジアと世界がつながって嬉しいです。

イディッシュ語で日本から海外へ発信して国際交流。自治体でやっても楽しいんじゃないかと思います。マイナー言語のつながりは強いですので、刺激的でまたとない交流ができると思います。

ご興味を持たれた方は、東京外国語大学経由でご連絡ください。