ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

別れ

2008年、エルサレムで「またね」と言って別れてから、何年も現地調査ができない時期がありました。あの「またね」が「八年後」の2016年になるとは。

去年の夏、八年ぶりに六日間だけエルサレムとテルアビブを訪問しました。お世話になったいろいろな人たちに再会しました。「行くよ!」「今いるよ!」と言ったら、「会おう!」と言ってくれた人たちがいました。八年経っても覚えていてくれるんだな、嬉しいなと思いました。会う人ごとに近況報告をして号泣してしまった・・・。

この時結構高齢の女性に会いました。二人でとにかく自分たちの家族の近況を話しました。彼女は帰り際に「あなたが来てくれてよかったよ」と言ってくれました。ハグして「また。元気でいてください」と言ったのだけど、なんだか様子が今までと違いました。返事がなかった。なんだか妙な気がしました。

その少し後、その人にはもう会えなくなりました。ある日、イスラエルの全く知らない人から今日彼女が亡くなったとメールが届きました。彼女へのお悔やみのことばがあれば息子さんに連絡してと。悲しかったです。その日はもう何も手につかなくて、空を見たりしてました。

この女性はイディッシュ語話者でした。何年か前に文章にしました。

A woman and a language: In the case of a Yiddish speaker in Israel

Satoko KAMOSHIDA, PaRDeS : Zeitschrift der Vereinigung für Jüdische Studie 14, 155-161, 2008