ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

大蛇を巻いた人

2016年6月末にエルサレムでみたこと

エルサレムではユダヤ人がたくさん住んでいる地域の商店や交通機関は、シャバット(安息日)でほとんど休みになってしまう。シャバットは日没から始まるのだが、その一時間前くらいには店もバスも止まってしまい、ぐっと静かになる。
エルサレムの夏は、ムシムシしてない分楽だけれど、太陽がものすごく照りつける。水を持って外出しないと、自分が道路で干からびたミミズになりそう。エルサレム到着当日で、私はとても疲れていて、旧市街(アラブ人地区では店が開いている)まで遠出もできなそうだった。なのでとりあえず週末にどこにも行かなくても飢えなくて済むようにと食料を買いに行くことにした。宿泊先の近所にあったスーパーに行くとなんと・・・。
大きな蛇を首に巻いてる男の人がスーパーに来ていた。8年前、私が留学中通っていたいくつかのスーパーではそんな人を見たことはなかったし、他の人からそういう話を聞いたことはなかった。
スーパーでは、店の入り口で女性のお客さんが店員さんに怒鳴っていた。お客さんは「危ないわよ!注意してよ」と言ったが、その店員さんは結構落ち着いた口調で「彼はいつも違う蛇を巻いてくるんだよ〜」と言っていた。その女性は「おかしいでしょ!」と激怒。
店員さんは、怒りに行くのは気が引ける(し、どうせもうすぐ安息日で店閉まる時間だし)といった感じだった。でもお客さんはずっとひとこと言いに行くようにと店員さんを説得した。
お客さんから説得され、店員さんはしぶしぶ大蛇の人のところに出動していってひとこと言った。大蛇を巻いた人のところにはすでに何人かの店員さんが集まっていて「蛇はダメだ、禁止だ」などと叱っていた。大蛇の人は「何が問題なんだよ」と逆ギレ。店員さんはことばに詰まっていた。「そういえば何が悪いんだっけ・・・」って思ってるんじゃないだろうか・・・。でも気を取り戻して言い返した「そ、それは、危険だからだ!」。普通じゃない。初めて見た。