ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

なんちゃってシャバット・エレベーター体験

ユダヤ教では安息日「シャバット」は仕事をしてはいけないので、車の運転、火を使った料理、電気のスイッチの操作などなどいろいろできないことがあります。メールや電話もできません(気にしないでやる人もいます)。

そのかわり休むことに集中できます。シャバットのときは、なんだか心と身体がゆるまってきます。家族や友達、近所の人との団らんを楽しむ機会になります。週一回生きるペースを見直すチャンスがあるなんて良いことだなと思います。

そんなシャバットにはエレベーターのスイッチが押せません。そこでシャバット・エレベーターがあります。ボタンが押されたらその階に止まるにではなく、各階に止まります。なんだかゆっくりしています。

「階段で行った方が早いんじゃないか」と思った方がいらっしゃったとしたら、まさにその通りです。

私のようにユダヤ人じゃない人にとっては一見時間の無駄です。でも安息日をまもっている人から「(シャバットでユダヤ人の自分はボタンとか押せない。ユダヤ人じゃないの君が)エレベーターのボタンを自分の代わりに押してくれないか」と毎回言われなくても済む(いちいち言われるのがめんどくさいという話を聞きました)というメリットがあります。ちなみにシャバットにユダヤ人を助けた非ユダヤ人「ゴイ」にはいいことがあるようです。私はシャバットに道を歩いていたらユダヤ人の人たちから「ぼくらの代わりに電気のスイッチを押してくれないか」と頼まれてスイッチを押したら、とっても喜んでもらったことがあります。

今日銀座のアップルストアに用事がありました。相変わらずカッコいい店内。

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上の階に行かなきゃいけなくて、エレベーターに乗りました。各階止まりだけど、仕方ないな。

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乗り込んだらかっこいいけど、閉めるボタンもなく、とにかくユックリ・エレベーターのペースに合わせるしかありませんでした。

用事がある階まで行きたいだけなのに、全部の階に止まらないといけません。

「アップルワールドに入って行くように、日常のペースから引き離し、リセットしてくれているのかな」と思いました。

その時、気がついたのです。

「これはシャバット・エレベーターだ」と。

今まで気がつかなかったのに今日気がついたのは、今日が金曜日でもうすぐシャバットが始まるところだったからかもしれません。