日本にもイディッシュ語母語話者が住んでいます。ジャック・ハルペンさんです。
ジャックさんは色々なことばを話します。新しいことばも勉強していて、この前は勉強したベトナム語で結婚式のスピーチをしたそうです。それだけ聞くと羨ましい限りです。
けれども、以下のエッセイを読むと、ジャックさんが壮絶なる人生を送っているということが伝わってきます。
引っ越しが多かった彼は、行く先々で周りが話していることばを自然と話すようになったようです。しかし、それより前に話していたことばは「隠れ」てしまったそうです。「隠れる」というのが面白い表現だと思いました。
12カ国語達人:「母国語がない」ってどういうこと? (2006年10月05日発行) | 12カ国語達人のバイリンガルマンガと十戒(英語版) - メルマ!
(リンク先の一番下にエッセイがあります)
私は1946年ポーランド系ユダヤ人の父とロシア系の母との間に生まれました。
(中略)私は四歳まで西ドイツで過ごし、幼稚園にも行ったので、
ドイツ語は一応四歳の子供のレベルで話せましたが、
家の中ではイディッシュ語を使ってました。(中略)
私が四歳になった時、一家はイスラエルに移住しました。当時のイスラエルではヘブライ語の他にアラビア語を使う人が多いのですが、
なにしろ世界各国から人々が集まって来ているので、
(中略)正に世界各国の言葉が周り中で飛び交っている状態でした。
(中略)
私が九歳になった時、
今度はフランスを経てブラジルに移り住みました。
半年も経つと、今度はヘブライ語が隠れてしまい、
その代わりポルトガル語がブラジル人と変わらないほどペラペラになっており、
読み書きは勿論、考える時も夢の中でさえもポルトガル語を使っていた。(続く)