11月22日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開のパレスチナ人監督によるコメディ映画『テルアビブ ・オン・ファイア』をみました。ズバリ、とっても面白いので超オススメです。
ピタピタの青シャツ姿が素敵な主人公サラム(↑)は、パレスチナ人です。彼はわけあって、パレスチナ人もイスラエル人(ユダヤ人)もみている超人気のメロドラマの脚本家に抜擢されます。視聴者の多数派が女性です。とりあえず、日韓関係が微妙な時も韓流ドラマは人気な状況と似ているとイメージしてください 。
社会的に成功したい!理想の社会にしたい!でも、大切な女性にも振り向いてほしい!マッチョなオレを見てくれ!男性たちはその気持ちをメロドラマで形にしていきます(すごく素敵です)。
女性たちの動向を気にする男性たち。一方女性たちは、そんなことはおかまいなし。感情を爆発させて男性たちに圧力をかけます。社会もドラマのシナリオも、枠組みを決めてきたのは男性たち。でも男性たちは、いつも女性のことを気にしています(↓サラムもがんばります)。
女性たちが既成の枠組みをぶっ壊すシーンが爽快です。しかも暴力ではなく、ことばと態度で。いくら脚本があっても登場人物が演じてくれなければ実現しません。名誉や社会にとらわれない美女たちがカッコいいです。
パレスチナ人のサラムは、通勤で検問所も通らなければなりません。
考え事をしていて、うっかり捕まったときに出会った軍人がサラムにとって大事な存在となります。軍人の執拗な介入がサラムにとって案外助けになるのですが、結構命がけです。ちなみにこの軍人は小市民的で怖くないですので安心してください。
独特な緊張感の中でせめぎ合う、愛と正義、理想と現実。パレスチナとイスラエルの格差、そして各々の社会の格差、日常化した「占領」。そんな中で「こうなってほしい」という彼らの理想がメロドラマを通して表出します。
私にとっては日本の次に長く住んだ留学先が舞台で、友達みたいな人たちが出てくるので愛おしい作品でした。最初の方からかなり笑えますが、同時に胸が締めつけられます。現地に住んでいたことがある人は特にそうかもしれないです。
パレスチナ、イスラエルにとどまらず、ジェンダー、コメディー、中東、フムス、メロドラマ、スパイなどなどに興味をおもちの方、最近笑ってない方、幅広い層の方々に見ていただきたい作品です。
詳細はこちら:【テルアビブ・オン・ファイア】| 第31回東京国際映画祭
11月22日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか