ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

新刊紹介『手話通訳者になろう』

白水社から手話通訳者の仕事について紹介する本が出ました。
とても売れているようです。関連イベントも開かれます。
イベントの情報、申込みはこちらから:
『手話通訳者になろう』刊行記念トーク 著者に聞く手話の魅力 | Peatix

結構ユーザーがいるマイノリティ言語「手話」の世界は、イディッシュ語の世界によく似ています。

手話通訳者になろう - 白水社

手話言語条例の制定が相次ぎ、手話通訳の需要が高まっています。各分野で活躍する手話通訳者にインタビューし、その魅力を探ります。
著者 木村 晴美、岡 典栄
出版年月日 2019/08/26
定価 本体1,600円+税

ろう、手話通訳者がろうと聴者の言語を翻訳する様子を垣間見ることができる内容です。また、NHK手話ニュースのキャスターのファンであれば、必読の書でもあります(私はサッカーファンではありませんが、野口先生の解説なら見たいです)。

日本語と日本手話の関係は、ドイツ語とイディッシュ語の関係にも似ており、なるほどなと思うことが多いです。
子どものころ、テレビで目にする手話は、私には全くわからない言語でした。たまに単語レベルで何を意味しているかわかるけれど、それは、外国語と同じレベルの話です。

より多くの人々に、手話が一つの言語であることを認識してほしいと思います。
この本を読むと、ろうと聴者のことばを通訳している人たちのキャリア形成やものすごい努力について垣間見ることができます。才能の他にも、タフさ、情熱、コミュニケーション能力(これらを備えていることが才能かもしれないです)が求められる仕事だと思いました。
手話の世界がどれだけ奥深くすごいものかというのは、実際使える人にならないとわからないことでしょう。手話に限らず、差別しているうちは、相手のこと(素晴らしさ)がわかってないということなんだろうなと思います。
そしてろうと聴者の世界を通訳する人たちのお仕事に、より敬意が払われ、彼らが働きやすくなり、より多くの人達が通訳者を目指せるようになることを祈っています。
私も興味があり、以前、国立障害者リハビリテーションセンター学院の手話通訳学科で教えていました。懐かしいお顔も拝見し、とても嬉しくなりました。
白水社さんありがとうございました。