私の人生は文学によって何度も救われました。
文学を読むと、他の人たちの社会や文化などを垣間見ることができます。しかも自分の社会や文化について考えるきっかけにもなります。
私はエルサレム留学から帰ってきて、一ヶ月間の調査のために再訪したものの、その後は妊娠して出産して、博士論文を提出したあとは非常勤として地方自治体で国際交流を担当していました。
結局8年間イスラエルに行けませんでした。特に妊娠中や子どもたちが小さいときは、何にもできませんでした。
そんな中、母袋夏生さん(ヘブライ語児童文学翻訳者の第一人者)が訳された児童文学を読んで、救われました。
母袋さんについてはこちら:
対談「母袋夏生さんと、『突然ノックの音が』について語る」 - ユダヤ人と言語 Jews and Languages
年輪を重ねることはそれなりに愉しい人生:Vol.5 母袋夏生 氏 - TONTON club
母袋さんの日本語がすごく綺麗で、しかもヘブライ語っぽくて、イスラエル人の不思議に対する理解が進んで。。。面白かったんです。驚いて、母袋さんが訳された本を読みまくりました。
そしてあるとき都内のエスカレーターで、母袋さんにばったりお会いして感動したのでした。それからかなりお世話になっています。
それまで注目されていなかったヘブライ語児童文学の道を、日本で切りひらいて来られたのは母袋さんでしょう。
母袋さんは児童文学以外にも訳されています。最近エトガル・ケレットの翻訳で母袋さんのことを知った方も多かったのでは。
マイナーなヘブライ語児童文学ですが、母袋さんだけではなく樋口範子さんという翻訳者がいらっしゃいます。樋口さんは母袋夏生さんについでかなり早くからヘブライ語児童文学の翻訳に取り組んでおられます。
<<樋口範子さんの紹介>>
by 「わんだふる山中湖」オーナー
「森の喫茶室あみん」のママ、樋口範子さんの著作を中心にした「樋口範子の本棚」を開設しました。範子さんは、立教女学院高校卒業と同時にイスラエルに渡り、二年間キブツ・カブリ・アボガド園で働きました。帰国後、山中湖畔児童養護施設保母、パン屋を経て、現在ご主人の裕峯さん(山中湖在住)と喫茶店を経営しながら、著作(ヘブライ語翻訳)活動に励んでおられます。
私にとっては昔のイスラエルをご存知で、翻訳や執筆、子育てのご経験が豊富な大先輩です。
樋口さんは『ぼくたちに翼があったころ』 (タミ・シェム=トヴ著 福音館書店 2015)の訳者です。
この本は是非読んでいただきたいです。個人的には読書感想文にすごくいいんじゃないかなと思います。
読書メーターのレビューも注目です。
この他にも、すでにたくさんの本を訳していらっしゃいます。下のリンクから見ることができます。全部読みましたが全部良かったです。樋口さん著の『はんこ屋の女房』もすごい本でした。樋口さんとお会いしたことがあるからかも知れないですが、非常に面白かったです。
その樋口さんが、10月にセルバンテス 東京で開催された日本スペイン語・スペイン語圏文化圏会議になんときてくださいました。
会議について:
ご自身が考えられたことをこちらのブログに綴ってくださいました。2018年11月のところです。
樋口さんのブログ:
上にあるように、樋口さんはキブツに住まれた経験をおもちです。たくさんの言語が混ざり合う多言語社会イスラエルの状況をよく知っている方に、このようなレスポンスをいただけるのは幸いでした。
イスラエルではヘブライ語、アラビア語、英語の他に、世界中から集まった移民たちが多種多用な言語を使って生活しています。イディッシュ語もその一つです。