ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

映画 『愛のイェントル』

 主人公を演じたバーブラ・ストライサンド の歌がうまかったです。主演のみならず、監督、脚本、製作、主題歌を彼女がやったとのこと。すごいですね。

愛のイエントル - Wikipedia

www.youtube.com

舞台は20世紀初頭のポーランドの村。主人公イェントルは向学心溢れる女性でした。彼女はトーラーやタルムードを学びたいと思っていたのですが、女性が学ぶことは許されていませんでした。父親の死をきっかけに、彼女は髪を切って男装し、男性名アンシェルを名乗りユダヤ人の宗教的な学校イェシバで勉強を始めました。そこで勉強友達のアヴィグドールとひかれあってしまうのでした。

そのあとも色々複雑な設定になっていますがネタバレになるので詳細は書かないようにしますね。なんだか後味が悪かったです。でも最後はイェンテルがアメリカに行ってしまうんで、まあいいか。と、見ている方としては映画の終わりに向かって残り時間がなくなる中、とりあえずの諦めがつく感じでした。

この映画の原作は、アイザック・バシェヴィス・ジンガー(シンガー)の短編イェシバのイェントル"Yentl the Yeshiva Boy"です。

作者のジンガーはこの映画にご不満だったみたいです。以下ニューヨークタイムズのインタビュー(January 29, 1984 I.B. SINGER TALKS TO I.B. SINGER ABOUT THE MOVIE 'YENTL' By I.B. Singer)より。

Question: Have you finally seen the Yentl movie?
Answer (I.B.Singer) : Yes, I have seen it.
Q: Did you like it?
A (I.B.Singer): I am sorry to say I did not. 
(中略)
Q: Did you enjoy the singing?
A (I.B.Singer): Music and singing are not my fields.
(中略)
Q: How do you feel about the writing?
A (I.B.Singer): (中略)Why would she decide to go to America? Weren't there enough yeshivas in Poland or in Lithuania where she could continue to study? Was going to America Miss Streisand's idea of a happy ending for Yentl? What would Yentl have done in America? Worked in a sweatshop 12 hours a day where there is no time for learning?(中略)As it is, the whole splashy production has nothing but a commercial value.

厳しいですね。あまりに辛口すぎ。そこまでいうなんてってちょっと気になりますが・・・。

それにしても「彼女はなぜアメリカに行くことにしたんだろう?ポーランドリトアニアにたくさんイェシバがあったんじゃないのか?(中略)イェンテルがアメリカに行って何をしようとしたんだろ?搾取工場で12時間労働したら、勉強する時間なんてないよ?」うーん、そうだよな。鋭い。人生考えさせられます。

インタビューの詳細はこちらで:I.B. SINGER TALKS TO I.B. SINGER ABOUT THE MOVIE 'YENTL'

完璧なんてないさ。