ユダヤ人と言語 Jews and Languages

みんな何かでマイノリティ。鴨志田聡子のブログです。All of us are minorities. By Satoko Kamoshida

We welcomed Mr. Travis Seifman, Japanese speaking Ryukyu expert from U.S., to our Yiddish class! トラビス・サイフマンさん

We welcomed Travis Seifman, the expert in Ryukyu, as a guest in our Yiddish class in the University of Tokyo! And he made a very interesting great lecture about his family in excellent Japnese (!)!!! We learned a lot of things, which we can't learn from the general history, from his family memories. I really thank him.

東大のイディッシュ語のクラスにゲストが来てくれました。琉球の専門家、トラビス・サイフマンさんが日本語でご自身の家族の歴史について話してくれました。トラビスさんは現在東京大学で研究をされています。カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の研究者です。

家族の記憶をもとにした歴史を教えていただくことで、教科書的な歴史の勉強だけだとイメージつかないようなことが、垣間見えてきて非常に勉強になりました。

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東大の五月祭でイディッシュ消しゴムスタンプやります

東大の五月祭(2017年5月20−21日)で、言語学研究室主催の言語学喫茶で、多言語、多文字の消しゴムスタンプをやります。イディッシュも出ます。

May 20th - 21st, we are going to introduce Eraser Stamps in Various Languages!  It is at Linguistics Cafe (GENGOKISSA) the Campus Festival of the University of Tokyo (Hongo Campus)!! Yiddish will be one of them!!

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遊びに来てください。

言語学喫茶についてはこちら Linguistics Cafe (Sorry, only in Japanese)↓

gogatsusai.jp

 

Bulbes(ジャガイモ)

ブルベ(イディッシュ語でジャガイモの意味)の歌があります。 

ちなみに、単数形がBulbeで、複数形がBulbesです。

 

面白い歌です。YouTubeで聞いてみてください。

Bulbes (Potatoes) - YouTube

 

歌詞(イディッシュ語と英語)

Bulbes Potatoes! traditional - Jane Enkin Music and Story

 

「ジャガイモ(ブルベス)」(和訳:鴨志田聡子。ドラフト版)
日曜 ジャガイモ
月曜 ジャガイモ
火曜 水曜 ジャガイモ
木曜 金曜 ジャガイモ
シャベス(安息日、金曜の日没から土曜の日没まで)のご馳走、ジャガイモクーゲル!
日曜からは ジャガイモ!
パンとジャガイモ
肉とジャガイモ

昼も夜もジャガイモ
それで次もジャガイモ
一度のご馳走、ジャガイモクーゲル!
日曜からは ジャガイモ
だけどジャガイモ、それでジャガイモ
そんでまた次もジャガイモ、それかもしくはジャガイモ
今日も明日もジャガイモ
シャベスはチョレントの後、ジャガイモクーゲル
日曜からまたジャガイモ

 

ところで、ユダヤの一週間は日曜日から始まります。

金曜日の日没から土曜日の日没までが安息日です。ユダヤ教では安息日に働くことは禁止されています。

書くこと、運転すること、火をつけることなどやってはいけないことがたくさんあります。電話、メール、テレビ、カメラ、スマホなどなど電気のスイッチのオンオフは禁止です。
エルサレムユダヤ人地区ではほとんどのお店が閉まっていました。
禁止ばっかりで一見大変そうですが、いっさいの労働から解放される日(!)です。

ということで、家族や友達と一緒に時間を過ごすことができます。
休日でも夜でも働けると、人生大変なので、週一で思いっきり休むという仕組みはとてもよいと思います。個人的には正直羨ましいです。

ちなみにシャベスに休む分、木曜日と金曜日は忙しいです。外では仕事に区切りをつけ、家の中ではシャベスの食事何食か分を作るおきしてといろいろやることがあります。

あと、週明けにテストがあって勉強したい人は、読むことだったらできますのでご安心ください。

 

ちなみにジャガイモの歌に出てくるクーゲルはこういう食べ物です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/クーゲル

エルサレムの市場で焼きそばを固めたみたような、面のクーゲルのを売ってました。

迷いなくそこの店のクーゲルを買っている人がいたので、私も買って一人で食べました。焼きそばの麺だけが甘くて、ちょっとしょっぱくて、焼き固めてあるような・・・なんとも言えない味でした。

迷いなく買っていたあの人は、この味を求めていたのか。と一人で思いました。

 

イディッシュ語キーボード

イディッシュ語には、ヘブライ語にない文字があります。

ヘブライ文字で書く時は、特殊なキーボードを使います。

 

iPhone , iPadの場合。

YiddishKが超便利です。無料です。キーボードのレイアウトが画面上に出てくるので、スラスラ打てます。ヘブライ語キーボードとしても使えます。他にも良い方法があるかもしれませんが、個人的には最近で一番良い気がしています。

 

パソコンの方について。

大変申し訳ないのですが、何が最適かわかりません。

私はMacでIsraeli Hebrew Style Yiddish Keyboard Layout (UYIP)を使っています。ヘブライ語アラビア語のキーボードはだいたい覚えたという方はこっちの方がいいかもです。

Qwerty Keyboard Layout for OS 10

Macなら以下のサイト↓のIsraeli Hebrew Style Yiddish Keyboard Layout (UYIP)が便利だと思います。ヘブライ語アラビア語のキーボードはだいたい覚えたという方はこっちの方がいいかもです。

Qwerty Keyboard Layout for OS 10

同じサイトにPhoneticというのもあってラテン文字のキーボードの音のまま、ヘブライ文字で打ち込まれるので快適です。が、母音が表記されないヘブライ語由来の単語が打ち込みにくかったような。

 

Windowsの方は、こちらになるのかな・・・。私は使っておらずわからないので、インストールされる場合は自己責任でおねがいします!そして使った方は感想を聞かせてください。

Yiddish Keyboards Installer for Windows

 

このリンク↓からいろいろ詳しい情報が得られます。

www.uyip.org

 

以上パソコンについては古い情報です。

 

イディッシュ語Google入力ツール↓というのもあり、快適に入力できます。

AndroidWindowsではダウンロードして使えるみたいです(使ったことがないので使いやすいかわかりません)。

が、なぜか今のところMacではダメみたいです。ウェブ上で入力するしかないのか。

Google 入力ツールをオンラインで試す – Google 入力ツール

 

しかたないのでこれを使い始めましたが、どのくらい良いかまだわかりません。

chrome.google.com

 

↓ここをお使いの方もいらっしゃるみたいです。ウェブサイトにキーボードが出てくるのでとりあえず使うのには便利です。

Yiddish Keyboard Online • Hebrew Alphabet • LEXILOGOS >>

 

それと連絡なのですが、ヘブライ文字を打ち込むと、Word(Macの場合)などでいろいろ不都合が発生します。

なんとかしようとしても不毛なかんじで、時間の無駄になることも多いとお伝えしておきます。文の最後の ! ? . が文の一番最初に来てしまったり、この文字を消したいと思ってもあの文字が消えたり、コピペしたら語順がバラバラになったり・・・・。

イディッシュ語ヘブライ語とコンピューターとその他いろいろに詳しい人たちに聞いたのですが、とりあえず彼らは「ヘブライ文字は問題が多いのであんまり使わないようにしている」とのこと。

なので何かあってもへこまないでください。そして良い方法があったら教えてください。

ということで、私はイディッシュの時はWordは使わないでなんとかやってます。

ペルシャ語とヨガとイディッシュ

去年の秋から冬にかけてペルシャ語の授業に潜って、何段落の文章を読んでいました。私は文字もおぼつかず文法を全然やらない状態でそのクラスに潜りました。すごく大変でした。みんなの足を引っ張っているという罪悪感と、全然できない悲しさ・・・。

すでにペルシャ語をものすごく読める人たちと順番に読んで訳していきました。自分の番が回ってくると、毎回すごくスピードが遅くなってしまいました。なんか申し訳なくてたまらなくて、謝りながら読むという、なんともなさけない感じでした。ともあれいろいろ知ることができて、世界が広がり、とても充実した時間を過ごしました。

前にヨガをやっていたことがあって、すごく良い先生に出会いました。毎回「あ、ここのびてきもちいいなあ」、「やばい、耐えられない」とか思いながら、とても良い時間を過ごしました。そのヨガの先生が「人と比べない、自分とも比べない」みたいなことを言ってました。

ヨガの時はかなり集中が必要で、その時間はとにかく「いま、ここ」だけでした。みんなできてるポーズが自分はできないからってだれに謝ることもなく、深く気にすることもなく(気にすると集中力がこけてこける)、最後は今日もみんなといい時間過ごしたなーって感じでした。

語学の場合もそうかもしれないです。

東京でイディッシュ語 Yiddish in Tokyo

Yiddish in Tokyo! In this semester, there are three Yiddish classes in Tokyo!

今年度は私が担当するイディッシュ語の授業が3つあります。

東京大学東京外国語大学と、東京外国語大学オープンアカデミーです。

どこの授業も、受講生方々の興味関心や人数などを考慮して充実させたいと考えています。

ご興味のある方はのぞきにきてください。どうぞよろしくお願いいたします。

以下、イディッシュ語ってどんな言語なの?という方のためにご参考までにいくつかサイトをご紹介します。

 

イディッシュ語をきいてみたい方へ↓

www.yiddishbookcenter.org

 

イディッシュ語ってヘブライ文字なんでしょ。ヘブライ語やったけど、ヘブライ語とどう違うの?という方↓、またはイディッシュ語の文学作品、文字を見てみたい方へ↓

www.yiddishbookcenter.org

 

イディッシュ語がドイツ語とほんとんど同じと思っている方へ↓

ビデオでは英語で言ったことを、イディッシュ語とドイツ語に訳してみています。途中まで結構似ているのですが、違ってきたり、「う、言えない」というシーンがあったり、興味深いです。

www.youtube.com

 

Yiddish POP

イディッシュ語独習に便利なサイトがこちらです。無料です。

YiddishPOP - An Animated Educational Site for Yiddish Language Students of all ages - Games, Lesson Plans, Teaching Tools, Activities, Animated Movies

この前このサイトを作っている人は、アメリカの大学でイディッシュ語の先生をしています。サイトはまだ完成しておらず、その先生は一週間に二、三日はサイトのために働いているとのこと。

その先生のインストラクションを受けながらちょっと使ってみましたが、充実していることがよくわかりました。授業でも使いたいです。

非常にオススメです。

ちなみに人間は女の子しか出てこなくて、ロボットが男の子役をしています。

男の子役が必要なのは、He、hisといった表現を使うためだと思われます。

ロボットなのは、兄弟ではない男の子と女の子が一緒に遊ぶのが宗教的にちょっと。。。と考える人がいる(ときもある)からだと思います。

超正統派の人が作った子ども用のイディッシュ語の教科書でも男の子と女の子が別々のページに出てきていました。

第二次世界大戦中のイディッシュ語の歌

イディッシュ語と音楽とくれば、クレズマーが一般的ですが、クレズマーだけがイディッシュ語の音楽ではない!

ということで、興味深いのがこちら。

トロント大学Anna Shternshis教授の インタビューです。

www.vaybertaytsh.com

Anna Shternshis教授にとって、もともと第二次世界大戦中のソビエトイディッシュ語の歌は研究対象ではなかったようです。けれど以前、別の時代の歌の資料を探している時に、ついでにこの時代の資料も手に入れたようです。

手に入れた時は別のことで手一杯で、そのファイルをチェックする時間もなかったようですが、だいぶ後になってファイルを開けてみると、これは面白いじゃない。ということで研究したとのこと。

これまで、第二次世界大戦中の歌、ソビエトの歌については、イディッシュの人たちの間でも諸事情からあまり知られていなかったとのこと。彼女がいろいろ調べてみると、面白いことに、そのほとんどが女性によって書かれた歌だったと言います。

そうなんだ。

映画 『猿の惑星』

なぜか『猿の惑星』という映画をみることになった。約半世紀前の映画だったが、最近サンダーバードがピックアップされていたせいか、どこかが斬新。

この映画の特殊メイクは、当時の最先端だったという。時代の移り変わりを感じた。

宇宙への旅に出た人間が、猿が支配する惑星に到着し、捕まってしまう。英語を話す猿たち。服をきている。人間を臭いと、人間が言語を理解できるわけないという。

牢屋に入れられた人間とそれを支配する猿。映画をボーっと見ていたら、支配というのは支配する側も結構忙しそうで、全体的になんだか虚しいなあと思った。

ユダヤ・アラビア語

他の言語から生まれたユダヤ人の独特の言語としては、イディッシュ語とラディノ語が有名です。が、そのほかにもユダヤアラビア語ユダヤペルシャ語、そしてもちろんユダヤ・英語などがあります。

こちらはカナダのユダヤアラビア語話者たちについて。本人たちの語りもあり、非常に興味深いです↓。(最初の15分くらい)

Arabic has a Jewish dialect, and these women speak it The World in Words March 16, 2017 · 3:45 PM EDT By Patrick Cox

www.pri.org

 

イディッシュ語新聞(ニューヨーク)

ところで、今でもイディッシュ語の新聞というのが発行されています。

そのひとつがこのフォーワード(フォルヴェルツ)です。

ノーベル文学賞を取ったイディッシュ語作家、I.B.ジンガー(シンガー)もこの新聞に書いていました。

ちなみにイディッシュ語の文字はヘブライ文字で、右から左に書きます。

yiddish.forward.com

ちなみに、フォーワードは最初はイディッシュ語版だけでした。

立山良司先生が『ユダヤとアメリカ - 揺れ動くイスラエル・ロビー 』(中公新書) などで参照されているが、日本でも結構知られている英語版のフォーワード↓は、イディッシュ語版から分かれてできたものです。

forward.com

 

 

イディッシュ語って

むかしイスラエル行きの飛行機の中でイディッシュ語の本を読んでいたら(必死に授業の予習をしていたのですが)、隣のおじさんがヘブライ語で「何読んでるの?」と話しかけてきました。

私は「これ、イディッシュ語なんだけど、予習しているんだけど、多分間に合わない、難しいよー」と言いました。

おじさんは「なんでイディッシュなんてやるの?」と聞いてきました。私が「イディッシュ語のことが大好きだから勉強してるんだよ。すごい素敵なことばだよ」と答えました。

おじさんは「そうだね。ぼくの家でも(家族が)イディッシュ語を話していたよ。イディッシュってことばは、甘くて(かわいくて)、面白くて(笑えて)、賢い・・・」となんともいえない幸せそうな顔で言いました。何年経ってもあのおじさんのセリフが忘れられません。おじさんはイディッシュ語は聞けばわかるけれど、話せないとのこと。そういう人がたくさんいます(今度かきます)。

 イディッシュ語はとっても面白いことばです。なんにも知らない人やちょっとかじった人は「ドイツ語とほとんど同じだっていうじゃない」って言います。

違います!!!

ドイツ語を勉強した後でイディッシュを勉強した時、ものすごい違うっていうことがわかってそれ以来、やればやるほど違うなあと思います。

興味を持たれた方は、とりあえずイディッシュ語の歴史の概説が書いてあるこの本を読んでみてください。

詳しくは日本が誇るべき翻訳!↓。

『イディッシュ語』(文庫クセジュ) 新書 – 1996/11 ジャン ボームガルテン (著), Jean Baumgarten (原著), 上田 和夫 (翻訳), 岡本 克人 (翻訳)

 

この本の著者のインタビュー動画はこちら↓。とても興味深い証言です。

Jean Baumgarten's Oral History

Jean Baumgarten | Yiddish Book Center

 

何年も前に初めてこのクセジュの翻訳本を読んだ時、この本を出してくれる出版社があるなんてとってもすごいなあ、ありがたいなあと思いました。

ポーランドとイディッシュ

ユダヤ人から聞いたジョークにこんなのがあります。

イディッシュ語を話す人なんてどこにいるんだい?」

ポーランドだよ」

別のユダヤ人からイディッシュ語を話す人なんてどこにいるんだい?」と質問をされて、「ポーランド」と答えたら、君このジョーク知ってるんだねと喜んでくれました。

私は2003年と2004年にリトアニアの首都にあるヴィリニュス大学でイディッシュ語の夏期集中講座に参加したのですが、ポーランドから結構たくさんの参加者がきていました。ユダヤを研究している人たちも多くいます。

イスラエル人の友人から、「ポーランドでイディッシュって今すごいクールなんだよ」と教えてもらいました。かつてイディッシュ語話者がたくさん住んでいた場所。自分の研究では後回しにしていたのですが、気になってはいました。

さらに気になり出したのは外大でイディッシュ語を教えるようになってからのことです。ポーランド語専攻の学生さんたちが「ポーランドに行ったとき、カジミエシュ地区でヘブライ文字を見た」、「あの壁の文字を読めるようになりたい」と話していたので、さらに気になってきました。

そこで、2016年の夏に個人旅行でポーランドに行きまた。ワルシャワから鉄道で南下して最後バスを使ってザコパネまで行ってみました。これがとりあえず観光客がよく行くルートらしいです(今度は北に行こうと思います)。ザコパネの湖↓

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色々見て回ったのですが、ユダヤ人地区(カジミエシュ地区。クラクフ(クラカウ)にあります)も行ってきました。個人的な感想としては、オシャレな感じ。周りの普通の道に比べて観光客で結構混んでいました。確かに建物の壁にヘブライ文字がありました。ヘブライ語だったり、イディッシュ語だったり。 

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その道端でソーセージ屋台(とても美味しい)を出していた若いユダヤ人に会いました。彼に聞いたのですが、結構ユダヤ人がこの地区に住みにきているとのこと。

そのソーセージの人もその地区に住んでいるとのこと。「ぼくの家はあそこ」と指差してくれました。自宅と職場が徒歩30秒という近さ。羨ましい限りです。

色々見て回った後、2003年にリトアニアの夏期講座で出会ったポーランド人の友達二人と再会しました。十年ちょっと経った私たちは、翻訳家、研究者としていろんな人生を歩んでいました。結局ユダヤとものすごく関係あることをやっているのですが。